あかぎれが痛い

お腹が痛い人のブログです。Techネタや旅行ネタ中心に書いてます。

片目の鮒

こんにちは。

ひょんなことから仙台市の神社を調べていたところ、面白い話を仕入れました。

仙台市には、動物園と遊園地がある八木山という場所があります。廃藩置県に伴って発生した旧士族の利権争いにまみれた土地を、八木さんという方が一帯を買取り再開発したという、なんとも男前な方が持っていた山で、昭和初期から仙台市民の行楽地として整備され、以前はベーブ・ルースがバッターボックスに立った野球場があり、跡地には遊園地が増築されています。2015年末には市営地下鉄東西線が開通し、八木山動物公園駅が開業。この駅は日本で一番標高の高い地下鉄の駅になっています。この辺はWikipediaなどを見ていただければと思います。

ja.wikipedia.org

さて、Wikipediaにも書いてあるとおり、八木山はもともと越路山と呼ばれていたそうで、山頂には越路山神社という神社があります。あるらしいのですが、国土地理院の地図には鳥居のマークがあるのに、Google Map等の別な地図サービスでは存在しません。ちょっと調べてみたら、こちらのブログに行き着きました。

kirokueiga.seesaa.net

このブログによると、越路山神社は荒廃により、八木さんが建立した越路神社と合祀され、現在はベニーランド内にあるそうです。

ちょっと気になったのが、越路山神社の発祥。東京と違い、その手の資料を漁るにはネットでは限界があり、未だに紙に頼る必要がありそうです。ということで、仙台市図書館のあるせんだいメティアテークに行って資料を漁ってみました。

まずは国土地理院の地図を漁りました。昭和3年の仙台南西部の地図を見た結果、その時点ではすでに越路山神社は存在していたことを確認できました。周囲には道もなく、亜炭炭鉱の入り口のみ。おそらく、普通の山の上のお社のようなものだったのではないかと思います。それ以前の地図となると急に古い資料になるので、今回は閲覧しませんでした。

ちなみに最新の地図では、やはり八木山山頂の神社はなくなっているようです。Webで公開されている情報と同期が取れていないのがとても気になる…

次にあたったのは平凡社版の宮城県の地名という地名辞典。ここから八木山を引くことでなにか情報が得られるのではと考えました。 結果だけ書くと、神社については特に触れられていませんでしたが、ここに面白い記述が…

越路山に黒沼があり、底に住む鮒はみな片目で、捕って食べてはいけないとされた

はい、これが今回のエントリで書きたかった本編です。

伝記モノ好きな自分のセンサーがビンビンと反応し、神社のことは一旦おいておき、この黒沼へ調査対象を変更。この地名辞典には出典として 仙台民俗志という本が挙げられていたので、こちらの本を探して閲覧…したのですが、いつ発行されたのかわからないレベルで旧仮名遣いや漢文のオンパレードで読めず。

諦めて片目の鮒についてググったところ、こちらの本を見つけました。

dl.ndl.go.jp

残念ながらオンラインでは閲覧できないので、図書館でこの書籍を検索したところ所蔵しているではありませんか。棚にはなかったので司書さんにお願いして倉庫から持ってきてもらいました。内容を抜粋するとこんな感じ。

八木山の竜の口渓谷側にあるがれ場に黒沼という沼があった。そこの鮒はみな片目で、捕って食べてはいけないとされた。黒沼は、明治に埋め立てられてしまった。

片目で仙台といえば伊達政宗公なわけですが、やばりちょっと関連があるようです。というのも、その黒沼のほとりに満海上人という行者がおり、この人も片目。で、満海上人は伊達政宗の生まれ変わりと言われ続けていたそうな。 民間伝承というものは、このような偶然を連続性のある事象と結びつけて伝説となることがよくありますので、片目の鮒も、正宗公の化身(≒神の化身)ということで、神聖化された、ということかもしれませんね。

じゃあ、その黒沼ってどこにあったんだろう?ということで更に調べてみると、瑞鳳殿でガイドのボランティアをされている方のホームページを発見。

zuihoden.web.fc2.com

このあかとんぼ氏の日記を漁ると、 向山1丁目公園付近ではないか と言及されていました。実際に足を運んでみたのですが、たしかにこの辺は窪地になっており、公園の土は湿っており、周囲の土が露出した部分だけ枯れない水たまりが。確かに怪しいですね。

気になる点としては、あかとんぼ氏の調査内容と三原良吉氏の仙台伝説集に記載の内容と整合性の取れていない部分があります。

  • 伝説では八木山の竜の口渓谷側とあり、それは向山ではなさそう
  • 埋め立てた時期にブレがある(本では明治、あかとんぼ氏の調査結果では大正〜昭和。ただ三原氏の書籍にもブレがある?)

時間ができたら、瑞鳳殿に直接足を運んで、お話を伺ってみようかしら。

それと、仙台伝説集の話がすべて興味深いものばかりだったので、もう一度ちゃんとメモ帳を持って閲覧したいですね。

それでは。